日本語版『三つのまほうのおくりもの』刊行記念
エロール・ル・カイン絵本原画展II
2015年9月9日[水]~2016年1月11日[月](終了)
イギリスの児童文学作家ジェイムズ・リオーダンが再話し、絵本作家エロール・ル・カインが絵を描いた『三つのまほうのおくりもの』は、1980年にイギリスで出版されました。元は『ふたりのイワン』という題で知られるロシア民話。ロシアの村のふたりの兄弟の物語をル・カインが色鮮やかに描いています。
“イメージの魔術師”と呼ばれたル・カインは、生涯、アニメーションの制作に携わりながら、絵本作家としても活躍しました。その作品はきらびやかで絢爛、繊細で緻密、装飾性に富み、いまも多くの読者を魅了し続けています。
2015年春、実に35年の時を経て『三つのまほうのおくりもの』の日本語版が刊行されました。ル・カインの絵本の、日本語版最新刊でもあるこの刊行を記念する本展では、前期展覧会の展覧作品の約半数を入れ替え、同作品の原画8点と、絵本原画やスケッチ、アニメーション背景画など、ミュージアムが誇るル・カインの所蔵品から約80点を展覧します。また、ル・カインが15歳の時に創作した貴重な手描き絵本も引き続きご紹介します。“イメージの魔術師”の名にふさわしい出色の作品の数々をぜひご覧ください。
■エロール・ル・カイン Errol Le Cain
1941年シンガポール生まれ。68年に映画用に描いたラフスケッチが元となり『アーサー王の剣』を出版、絵本作家としての第一歩を踏み出す。『いばらひめ』『おどる12人のおひめさま』『美女と野獣』『まほうつかいのむすめ』など、手がけた絵本は48冊を数える。85年『ハイワサのちいさかったころ』でケイト・グリーナウェイ賞を受賞し、名実ともにイギリスを代表する絵本作家となる。89年、癌のため47歳で死去。